Andere Länder andere Wörter!?

ユニークな表現-- Mein Name ist Hase.

ユニークな表現-- Mein Name ist Hase.

「私の名前は長谷(はせ)です」はい、今日は自己紹介の仕方から始めさせて…じゃありません!
え、じゃあ、「私はうさぎ(Hase)といいます」ですか?って、それも違います!!
では、一体どういう意味でしょう?
Mein Name ist Hase.のあとに、ich weiss von nichts.を付け加えて言うこともあり、口語で「この件に関して、私は何も知りません。だから私に責任はありません。」という意味になります。いわば「しらばっくれる」ときに使う言葉ですね。
実はこれ、”Unsere Hauschronik”という本に出てくる、登場人物のセリフから来たものなのです。
学友を決闘で射殺してしまった Karl Manfred von Hase は、逃亡するため自分の兄弟である Victor von Hase の身分証明書を借ります。逃亡はまんまと成功したのですが、投げ捨てられていた身分証明書が見つかってしまい、警察に捜査のきっかけを与えてしまうのです。若き法律家の卵であった Victor von Hase は、取調べの際、こう言い放ちます。”Mein Name ist Hase、ich verneine alle Generalfragen, ich weiss von nichts.”(私の名前はハーゼと申します。私は黙秘権を行使させて頂きます。私は何も知りません。)このセリフが、現在は少し短縮され、使われているというわけです。
ところでもし、この「お国変われば…」の読者に「長谷(はせ)さん」がいらっしゃいましたら、ドイツ語圏で自己紹介するときには気をつけて下さいね。Mein Name ist Hase.というと、変な目で見られてしまうかも…!?できれば、Ich heisse Hase.(イッヒ ハイセ ハセ)と自己紹介することをお勧めします。特に、オーストリアではsの音は濁らずに発音される傾向にありますので、誤解を生んでしまう恐れがありますからね!(^_^)
かなり脱線しますが、英語の似通った話で、ある人がポーターに、Please call me a taxi. と言ったら、Yes, Mr. Taxi. と言われたという話があります。誤解を避けるためには、Please call a taxi for me. というのが無難なようです。

お後がよろしいようで…。

びっくり!-- allmaehlichとschoen langsam

びっくり!-- allmaehlichとschoen langsam

★ allmaehlich(アルメーリヒ)とschoen langsam(シェーン ラングサーム)
今回は、普段とは趣向を変えたお話をしたいと思います。
私はオーストリアの友人たちに言わせると、時々時代がかった表現をするのだそうです。
「N(私の名前)は、時々Goethe(ゲーテ)かSchiller(シラー)の時代かと思うようなドイツ語を話すんだよね。Nのドイツ語を訂正するつもりは毛頭ないんだけど、それはちょっと時代遅れだよ。今の時代は“×△◎■…”という表現を使うといいよ!」・・・そ、そんな・・・。
しかし、彼らにそんなことを言われた表現も、ドイツ人の友人にはごく真っ当な表現としてすんなりと受け入れてもらえることがよくあります。というよりは、ドイツ人に使って何にも疑問を呈されなかった表現が、たまに、オーストリア人には笑えるくらい古い表現として受け取られることがあるといった方がよいでしょう。その一例が、今回ご紹介する「allmaehlichとschoen langsam」です。
これらはどちらも「そろそろ・・・する」といった意味の表現です。それでは「そろそろお開きにして帰ろう!」という場合、ドイツでは普通に使われるのに、オーストリアではほとんど使われることのない表現を含んでいるのは、下のどちらだと思いますか?
A:
Machen wir Schluss und fahren wir allmaehlich nach Hause!
B:
Machen wir Schluss und fahren wir schoen langsam nach Hause!
答えはなんとAです。私は、大学でいわゆる標準ドイツ語を習ったため、ずっとAを使っていました。ところが、私がallmaehlichを使うたびに、オーストリアの友人たちは「クスッ」と笑ったり、「ああ、allmaehlich!」と、なんだか特別な反応をするのです。
おかしいなと思って聞いてみると、なんとallmaehlichは古臭い表現として、ほとんどオーストリアでは使われていないのだそうです・・・。
日本では、教科書に載っているくらい、ちゃんとした表現なのだと説明しても、全然取り合ってもらえません。ちなみに、ドイツ人の友人に聞いてみたところ、allmaehlichを使うのは全く問題ないといいます。本当に驚きました。それ以来私は、相手の出身に応じて使い分けをしています。もちろん、オーストリア出身者に1回はallmaehlichを使って笑いを取ることも忘れません!?
ところでどなたか同じような経験をされた方はいらっしゃいますか??

ユニークな表現 --Butter auf dem Kopf haben

ユニークな表現 --Butter auf dem Kopf haben

★ Butter auf dem Kopf haben(ブッター アオフ デム コップフ ハーベン)
久しぶりにユニークな表現をご紹介しましょう。
さて、Butter auf dem Kopf haben、つまり「頭の上にバターが載っている」とは、いったいどういう意味でしょう?――なんだか気持ち悪いですよね、バターが頭の上に載っているなんて。日常、頻繁に登場する食品だけあって、Butterを使った慣用句は数多いのですが、この表現は、古くからオーストリアと南ドイツでのみ使われているもので「(へまなどをやって)やましさを感じている」という意味になります。例えば、オーストリア連邦評議会での罵り合い(日本でもよくありますよね)における使用例をご紹介しましょう。
Hast du Butter auf dem Kopf, geh nicht im Sonnenschein!(ハスト ドゥー ブッター アウフ デム コップフ、ゲー ニヒト イム ゾンネンシャイン)「お前はやましいことがあるだろうから、お天道様の下なんかに出るんじゃないぞ!」
まあ、確かに頭の上にバターなんて載せていたら、外なんて歩けませんよね。
Butterを使った他の表現も、いくつかご紹介しましょう。
nicht die Butter auf dem Brot goennen
(ニヒト ディー ブッター アオフ デム ブロート ゲンネン)
パンの上のバターすら快く与えない → 「~をねたむ」
Alles in Butter!(アレス イン ブッター)あらゆるものはバターの中! → 「万事順調」
ところで、Butterはふつうは女性名詞なのですが、Wienerisch(ヴィーネリッシュ、ウィーン方言)ではなんと男性名詞として使われることが多いようです。これには理由があります。Butterという単語はもともとギリシャ語のboutyron(=Kuhkaese クーケーゼ、つまり牛の乳で作ったチーズという意味)から来ており、他のロマンス諸語においても、バターを指す語は男性名詞なのです。その規則を取り込み、今に至っているというわけですね。帝政時代のオーストリアは、少なくとも10以上の民族が住んでいた多民族国家であり、そんな様々な民族の言葉が、オーストリア方言の中ではたくさん使用されています。ハプスブルク家の人々は数ヶ国語を自由に操る、語学の使い手でした。そんな背景からも、オーストリア方言の、他言語への寛容さが見て取れるような気がします。

番外編】Eierschwammerlは…

番外編】Eierschwammerlは…

Eierschwammerl.jpgこんなものです。みためはちょっと大きめの、なめこみたいな感じでしょうか?(小さくて、まだかさの開いていないものだと、もっとなめこっぽいです)適度な歯ごたえもあって、美味しいです。私は肉があまり得意ではないので、夏に向こうへ行くとよく食べています。食欲がないときには、Eierschwammerlsuppeだけとか。確かに美味しいとは思うけれど、大騒ぎして食べるほどのことは…ないと思います…。

これはいったいなんでしょう?-- Obers、Schlagobers

これはいったいなんでしょう?-- Obers、Schlagobers

★ Obers(オーバース)、Schlagobers(シュラークオーバース)
ウィーンと言えば、カフェと言っても過言ではないくらい、日常生活にしっかりと根付いているのがカフェ文化ではないでしょうか。今回ご紹介するこのObersとSchlagobersという単語も、カフェメニューのそこここで見られます。
まず、Obersの意味はなんでしょう。単語をじっと眺めて見ましょう…何か思い浮かびませんか?
読んで字のごとく、と言いましょうか、そのものずばりと言いましょうか、生乳をそのまま置いておいたら、分離して『上に』浮いてくるもの…そう、「クリーム・乳脂肪」のことなのです。では、これをschlagen(シュラーゲン、打つ・たたく・泡立てる)するとできるものは?そうです、Schlagobers(シュラークオーバース)つまり、ホイップクリームです!どちらの単語も標準ドイツ語にはなく、Obersは(suesse) Sahne(ザーネ)、SchlagobersはSchlagsahneとなります。
ウィーンのKaffeehausには、この間ご紹介したEinspaennerやEiskaffeeなど、Schlagobersを使ったKaffeeのレシピがたくさんありますし、Cafe-Konditorei(カフェーコンディトライ、菓子店を兼ねたカフェーハウス)にも、Schlagobersをたっぷり使ったTorteたちが並んでいます。そして、このSchlagobersを愛した作曲家も!
皆さんは、Richard Strauss(リヒャルト・シュトラウス)という作曲家をご存知でしょうか?名前は知らなくても「2001年宇宙の旅」で流れるテーマ曲はご存知でしょう。彼は、ウィーン国立歌劇場の音楽監督時代に、なんと”Schlagobers”というバレエを作曲しているのです!コーヒーの王子様に、プラリネのお姫様などが登場するこのバレエ、第1幕は華麗なる”Schlagoberswalzer”(ホイップクリームのワルツ)で締めくくられます。Schlagobersがたっぷり載ったウィーンの魅力的なお菓子たちが、作曲家にインスピレーションを与えたのかもしれませんね。(実際、彼はDemelのお菓子の大ファンだったとか…)話の筋自体は、はっきり言って、あの「くるみ割り人形」の二番煎じという印象は否めませんが、のちに本人はワルツを取り出したり、組曲も作っており、意外とお気に入りだったのかも!?なお、作曲者自身があの!Wiener Philharmoniker(ウィーン・フィル)を指揮した録音を始めとして、いくつかCDも出ていますので、気になった方は探してみてはいかがでしょう?

これはいったいなんでしょう?-- Heurige

これはいったいなんでしょう?-- Heurige

★ Heurige(ホイリゲ)
言葉を学ぶことは、すなわち文化をも学ぶということ。というわけで、今回は、ウィーンに行ったら外せない?Heurige(ホイリゲ)という言葉の由来についてお話したいと思います。
皆さんはHeurigeと聞くとすぐに、ウィーン郊外に点在する、ワインを飲ませる居酒屋のことを思い浮かべますよね。ところが、ホイリゲとはご存知の居酒屋を意味するのはもちろんですが、もともとは今年できたばかりの新酒のことを意味する言葉で、heuer(ホイアー、今年)という単語から来たものなのです。ところで、このheuer、オーストリアや南ドイツの方言にだけ見られるもので、標準ドイツ語では全く使われていません。これは、実は古高ドイツ語(750~1050年頃に使われていたドイツ語の祖先)の hiu jahr(aの上に横棒)から来たものなのです。ホイアーのアーは明らかにJahrの音なんですね。Heurigeとは、このheuerという副詞から派生したheurig(ホイリク、今年の)という形容詞を使って表現したder heurige Wein(デア ホイリゲ ヴァイン、今年のワイン)が、形容詞の名詞化(*)により der Heurigeで、今年のワインそのものを指すようになったものなのです。ふつう1格はHeurigerと無冠詞で使うようですね。
*形容詞の名詞化…ドイツ語は造語能力の高い言語で、形容詞の頭を大文字にすることで、本来付いていた名詞を省き、名詞として使うことができます。
では「ホイリゲへ行く」や「ホイリゲで一杯やる」はどう言えばよいのでしょう。意外と盲点かな?ずばり zum Heurigen gehen(ツム ホイリゲン ゲーエン)、beim Heurigen trinken(バイム ホイリゲン トリンケン)となります。ワイン好きな方には重要ですよね。覚えておきましょう!(Heurigeの形に注意!形容詞変化をします)
ところでheu-で始まる似たような単語を思い付きませんか?そう、heute(ホイテ、今日)です。この単語はラテン語のhodieに由来します。(ラテン語の「今日」を意味するhoc diesという単語が短くなったもの)。このheuteはドイツ語圏のあらゆるところで使われているというのに、heuerという単語は、ほとんどオーストリアや南ドイツだけでしか使われていないとは興味深いことですね。オーストリアや南ドイツで使われているドイツ語は、昔のドイツ語をも内包する、豊かな言語世界を持った言葉だと思いませんか。

ユニークな表現 -- Hals- und Beinbruch!

大ユニークな表現 -- Hals- und Beinbruch!

Hals -und Beinbruch!(ハルス ウント バインブルフ)
今回はHalsbruch(ハルスブルフ、首の骨折)に、Beinbruch(バインブルフ、足の骨折)、つまり「首と足を骨折しろよ!」なんて、ずいぶんとおだやかじゃない言葉から始めてしまいましたが…。
さて、この言葉、どんなときに使われるのでしょう。--整形外科医が使う挨拶?それとも、誰かと喧嘩したときの捨て台詞??
いえいえ、違います。これも、前回ご紹介したToi, toi, toi!と同じような意味を持つ表現で、大事な試験や試合を控えた人に対して「頑張ってね!」とか「成功を祈ってるよ!」と、励ましてあげるときに使うのです。また、旅立つ人に向かって「どうかお気をつけて!」という意味でも使うことができます。
この表現が初めて文学作品の中に登場してきたのは、17世紀頃のことでした。(もっとも、その頃は今のように、逆説的な意味はなかったようですが…)。昔の人々は、超自然的な力の存在を強く信じていたのですね。ですから、願い事や祝福の言葉を実際に口にするということに対して、とっても神経質になっていたのです。なぜって、悪霊たちに自分達の願いがバレてしまったら、必ず邪魔をされてしまうと信じられていましたから!この一見とんでもない祝いの表現も、実は、わざと悪いことが起こるよう願うことで、不吉な力や悪霊をだまし、良い結果に転じることができるという、古い民間信仰に由来しています。また、同様な表現がヘブライ・イディッシュ語の祝辞にも見られますので、ドイツ語はそこから借用されたという考えも成り立ちます。
ちなみに、英語でも「頑張ってね!」というときには、Break a leg!とまったく同じ表現を使いますので、一緒に覚えておくとよいですね。今までにもいくつか紹介してきましたが、ドイツ語と英語の表現には、共通点も多いのです。
さて、これで誰かを励ましてあげる表現を2つも覚えたことになります!Toi, toi, toi!と合わせて、うまく使ってみて下さいね。
*文法ワンポイント…Halsbruch und Beinbruchと書きたいときには、前者はHals- と省略形になりますので、ご注意を!例えば、Hinfahrt und Rueckfahrt(ヒンファールト ウント リュックファールト、往復)なら、Hin- und Rueckfahrt となりますよ。

すぐに使える?-- Toi, toi, toi!

すぐに使える?-- Toi, toi, toi!

★ Toi, toi, toi!(トイ、トイ、トイ!)
さて、今回取り上げる、この妙な単語の羅列、これは正真正銘のおまじないです。オーストリアだけではなく、ドイツ語圏全般でよく使われるもので、2通りの意味があります。ひとつめは「幸運を祈る!」とか「しっかりね!」という意味で、試験や舞台の直前などに Good luck!みたいに、誰かに唱えてあげるのです。例えば、こういうふうに使います。
Morgen habe ich ein Solokonzert. - Na, dann, toi, toi, toi!「明日、ソロを弾くコンサートがあるんだ。」「あら、しっかりね!」
もう一つは、何か幸運が舞い込んだとき、それをうっかり口にしてしまったら、これを唱えるのです。
この場合 unberufen(ウンベルーフェン、言わなかったことにしよう)という言葉がよく一緒に使われます。
In der Lotterie habe ich den ersten Preis gewonnen! Unberufen, toi, toi, toi!宝くじで一等賞が当たった! おっと、言わなきゃよかった。くわばら、くわばら。
そもそも、このToi, toi, toi!というおまじないは、1930年代頃、ある流行歌によって広まったものだそうですが、実は古くからの民間信仰と結び付いています。
その昔、褒め言葉は、寝ている悪霊たちを起こし、嫉妬を買うものとして、一般に恐れられていました。
ですから、忍び寄る災厄を追い払うために、誰かを褒めるとすぐに防御策を講じなければならなかったのです。例えば、つばを3回吐く音に似せて、木を3回叩きながらtoi-toi-toiと唱える、といったように。
古くは、つばは災厄を追い払うものと見なされていました。人前でつばを吐くという行為も、もともとは
悪霊を追い払うための呪術的な意味があり、今日のように軽蔑のしるしではなかったのです。また、勝負事の前に、コインやさいころに、富や勝ちをもたらしてくれるよう、つばを吐きかける習慣もあったのですよ。ちなみに、魔除けのために、木を触ったり、叩いたりするのは、何もドイツ語圏に限ったことではなくtouch wood や knock wood という表現に見られる通り、英語圏にも同様のおまじないがあります。ゲルマン民族の、もみの木信仰と関係があるのかもしれません。
みなさんも、うっかり幸福を口にしてしまったときはともかく、誰かを励ましてあげたいときには、Toi, toi, toi!と声をかけてあげてくださいね!

知っていると思ったら… -- Einspaenner

知っていると思ったら… -- Einspaenner

★ Einspaenner(アインシュペナー)
この人ったら、今さら何を書こうっていうの?--そう思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。

オーストリア好きの皆さんだったら、日本でウィンナ・コーヒーと呼ばれているものに限りなく近い、
濃い目のコーヒーに泡立てた生クリームが浮かべられている飲み物がEinspaenner であるということは、
もうご存知でしょう。「えっ?」と驚かれた方、向こうへ行かれた時に、モノはためしで一度注文して
みて下さいね。実際にはコーヒーカップではなく、取っ手のついたグラスに入って出てきますよ。

今回はここで終わりではありません。なんと Einspaennerには、別の意味もあるのです!
元はと言えば、こちらが第一義だったのでしょう、「一頭立ての馬車」のことを指します。ちなみに、
二頭立ての馬車のことは、ちゃんと Zweispaenner と言うんですよ。この単語の後半部分 -spaenner
というのは「…頭立ての馬車」という意味があります。

ところが、まだ終わりじゃないんです。3つめの意味があるんですよ。何だと思いますか?なんと
「Frankfurter Wuerstchen(フランクフルター・ヴュルストヒェン、フランクフルト・ソーセージ)」
という意味があるのです!ここまでくると、もう想像がつきませんよね。ところで、皆さんは
フランクフルト・ソーセージと言われたら、一体どんなソーセージを思い浮かべますか?そう、
太くて短いソーセージを思い浮かべますよね。恐らく、普通日本人だったら、ほぼ100%の
確率で、これを思い浮かべるでしょう。ところが、友人からこんなことを言われたことがあるのです。
「日本人は Wiener Wuerstchen(ヴィーナー・ヴュルストヒェン、言うなればウィンナ・ソーセージ) と
Frankfurter Wuerstchen の大きさを誤解している!」そういえば、私も食べたことがありますが、
本場の Frankfurter Wuerstchenは、太くて短くなんかない、細長い普通のソーセージなんですよね…。
私を含め、普通日本人がフランクフルト・ソーセージといって思い浮かべるものは、実は、
アメリカからやってきたもので Wiener Wuerstchen が元になっているらしいのです。だから、
太くて短いのは、フランクフルトではなくて、ウィンナの方!!

さて、真偽のほどは一体どうなのでしょう?どなたか教えてください…。

お尻についてるこれはなに?-- -erl、-l

お尻についてるこれはなに?-- -erl、-l

★ -erl、-l(エルル、ル)
いきなり呪文のような言葉が並びましたが、今日は縮小辞というものについて、お話ししたいと思います。縮小辞というのは、一般的には名詞に付けて、「小さいもの」、「愛らしいもの」、「重要でないもの」といった意味を持たせるもので、さまざまなバリエーションがあります。日本語の「○○ちゃん」にあたるようなものといえるでしょう。
みなさんは、FraeuleinやMaedchenという単語は聞いたことがありますよね。これらも実は、標準ドイツ語で一般的な縮小辞-leinや-chenがついた言葉なのです。さて、元の形はなんでしょう?ひとつめは簡単ですね。そう、Frau(フラオ、婦人)です。では、ふたつめは?難しいかな…。Magd(マークト、乙女)です。*ドイツ語ではこの縮小辞が付くと、名詞の性は無条件で中性になるので、ご注意を!
さて、ウィーンにいると、明らかに知っているはずの単語なのに、まるで別の単語みたいに聞こえることがあります。例えば、タッシャルル(達者である?)、アハテルル(慌ててる??)。こんな風に聞こえてくるこれらの単語、これらはみんな、-chenや-leinと同じような縮小辞、-erlが付いたもの。この縮小辞はドイツ南部やオーストリアでよく使われているもので、元の形はそれぞれ、Tascherl(小さな鞄)→Tasche(鞄)、Achterl(1/8リットル、ホイリゲではグラス1杯にあたる)→Acht(8)になります。
もう一つ、よく使われる縮小辞に -l があります。これも皆さんだったら、どこかで目にしているはず。インスブルックに行かれたことのある方は、旧市街のシンボル Goldenes Dachl (黄金の小屋根)をご覧になったことがあるでしょう。また、音楽好きな方は、オペレッタ「白馬亭にて」の舞台になったことで有名な、サンクト・ヴォルフガングの Im Weissen Rossl や、ベートーヴェンら作曲家たちが通い、彼らの「サインの間」がある有名なレストラン Griechen Beisl(ギリシャ風酒場)を思い出されることでしょう。そうそう、かの有名なシュテファン寺院だって、ウィーンっ子に言わせると、Steffl(シュテッフル)になってしまうようです!
これらオーストリア特有の縮小辞、ちょっと頭の隅に置いておいてくださいね。聞き取りに役に立つことがあるかもしれませんよ!縮小辞の世界はとても豊かで、まだ面白い話もあるのですが、それはまたの機会にゆずると致しましょう。

ユニークな表現-- Es ist mir wurscht.

ユニークな表現-- Es ist mir wurscht.

★ Es ist mir wurscht.(エス イスト ミーア ヴルシュト)
今日ご紹介するのは Es ist mir wurscht. です。この文章を見ただけではいったい何のことやら、さっぱり見当がつかないのではないでしょうか。でも、これは、オーストリアだけではなく、ドイツ語圏では口語でとてもよく使われている表現なのです。
Es ist mir wurscht. は、Es ist mir egal.(エス イスト ミーア エガール)または、Es ist mir gleichgueltig.(エス イスト ミーア グライヒギュルティヒ)と言い換えることができ、「どうでもいい、興味がない」といった意味になります。
例えば、このように使います。
Ob es am Wochenende regnet oder nicht ist mir wurscht. Ich muss sowieso arbeiten!--週末に雨が降ろうが降るまいが、ぼくには関係ないね。どのみち働かなくちゃならないんだからさ!
さて、気になる「wurscht」という単語、きわめて古い言葉だそうですが、語源は特定されていないのです。(私がこの表現を教えてもらったときには、wurschtとはガラクタとか、不要な物のことを指すと説明されましたけど!)ただ、Wurst(ヴルスト、ソーセージ)から来たという説が有力のようですね。実際、ドイツでは Mir ist alles Wurst.というように、Wurstも使うようです。
余談ですが、Wurstの縮小形であるWuerstl(ヴュルストゥル、オーストリア方言。標準ドイツ語ではWuerstchen、ヴュルストヒェン)には「小さなソーセージ」という意味のほかに「取るに足らない(愚かな)ヤツ」という意味もあるんですよ。また、Wurstから派生したwurstig(ヴルスティヒ)という形容詞には「くだらない、無関心な」という意味があります。
食べ物ネタついでですが、ワインとよく合うKaese(ケーゼ、チーズ)にも「ばかげたこと、役に立たないもの」という意味があり、Das ist ja Kaese.「ばかげてる」といったふうに使われます。状況によっては、Es ist mir wurscht. と同様の意味で使うことができるでしょう。食べ物の表現が並びましたが、身近なものほど日常表現には取り入れやすいということなのでしょうね!
せっかく縮小形の話が出ましたので、次回はオーストリアでよく耳にする縮小辞についてお話しましょう。
#前回書いた Famma! ですが、かの地ではちゃんと使われているそうです。情報提供、ありがとうございました!

ユニークな表現-- Gemma!

ユニークな表現-- Gemma!

★ Gemma!(ゲンマ!)
オーストリア方言には、独特の発音やお約束みたいなものがあります。
例えば…
1. [g]は「ク」と発音される例:zwanzig(ツヴァンツィヒ→ツヴァンツィック) 20
2. [ch]は「カ行」に発音される例:China(ヒーナ→キーナ) 中国
3. Sの発音が濁らない例:Servus(2003年2月6日の記述参照)
4. 独特の接尾辞や縮小辞がつく例:Sackerl 袋
5. 言葉がよく省略される 例:ich gehe(イッヒ ゲーエ)→ i ge(イ ゲ)私は行くなどなど。
今日ご紹介する「Gemma!」は、実は上の5の省略の結果なのです。
元の形は、Gehen wir mal!(ゲーエン ヴィア マル!)で、「さ、行こう!」という意味なんですが、随分と短縮されてしまったものですよねぇ…。
もし、オーストリアの友人をお持ちの方がいらしたら「行こうよ」というときに使ってみて下さい。とってもウケること、間違いナシです!(ただし、親しい間柄限定ですよ!!)
ある日、オーストリアの友人と電車で移動するときに「これはgehenじゃないよなあ、fahrenになるのかなあ??」と思い、Gemma!ではなくFamma!(ファンマ)と言ってみたところ、狙ったわけでは
ないのに、異常にウケてしまいました。どうも、Famma!とは言わなかったみたいです…。一応意味は通じましたけどね!
ちなみに私は、ドイツの人と話すときと、オーストリアの人と話すときでは、一応できる範囲で、使う単語群を意識的に変えることにしているのですが、ベルリンの友人に思わず「Gemma!」とやってしまったところ、「へ?」という顔をされ、まったく通じませんでした…。

ユニークな表現-- …、 gelt?

ユニークな表現-- …、 gelt?

★ …、 gelt? (…、 ゲル?)
今日ご紹介するこの不可思議な言葉、表現ではないのですが、オーストリアや南ドイツの方と話していると、音として非常によく耳に入ってくると思います。これは「~でしょう?」という意味で、普通は…nicht wahr?、とか…oder?といいます。
私の友人の一人は、これが口癖なのかと思うくらい、本当にしょっちゅうgelt?を繰り返すのですが、知り合った頃は何を意味するのか分かりませんでした。思い切って聞いてみたところ「この歌、知ってる?」と、音楽家らしくある歌を(交差点の真ん中で!)歌いだしました。(またまたつたない対訳ですが…)

Ging heut' morgen uebers Feld       今朝、野原を通ったとき
Tau noch auf den Graesern hing;     葉の上にはまだ露がついていて
Sprach zu mir der lust'ge Fink;      陽気なヒワが僕に話しかけてきた
Ei du! Gelt? Guten Morgen! Ei gelt?      ねえ、君!ね?おはよう!ね?
Du Wird's nicht eine schoene Welt ?   素晴らしい世界になりそうじゃない?
Zink! Zink! Schoen und flink!       チュン、チュン、美しく輝かしい!
Wie mir doch die Welt gefaellt !      なんと僕はこの世が気に入ったことだろう!

マーラーの歌曲「Lieder eines fahrenden Gesellen(さすらう若人の歌)」の第2曲「Ging heut' morgen uebers Feld(今朝、野原を横切ると)」だったのです。こうして、私はgelt?を歌詞ごと覚えてしまいました。ちなみに、このテキストはマーラー自身によって書かれたものです。興味のある方は、ご一読ください。メロディーは、同時期に書かれた、交響曲第1番の第1楽章と兄弟関係にありますので、聴き比べてみられるのも面白いと思います。

これはいったいなんでしょう?-- Fisolen

これはいったいなんでしょう?-- Fisolen

★ Fisolen(フィゾーレン)
Fisolenとは、私たちにとってもおなじみの野菜「インゲン」のことです。
標準ドイツ語では、gruene Bohnen(グリューネ ボーネン)といいます。このFisolenという言葉、生物学の属名「Phaseolus(=豆) vulgaris(=一般的な)」のPhaseolusからきたようですが、元は「小船」という意味で、インゲンの実の形から連想されたとのこと。
*ちなみに、この「小船」、ドイツ語ではKahn(カーン)といいます。どこかで聞いたことがあるでしょう?そうです、昨年6月にワールドカップで一躍有名になった、ドイツ・チームの守護神Kahnです!なんと、小船って意味だったんですね。なんだか、あの強面の容姿からは想像もつきませんが…。
ところで、ドイツ語に興味を持たれる方は、クラシック音楽愛好家も多いことでしょう。
このFisolenという単語、意外なところで耳にすることができます。近年、演奏会でもよく取り上げられる作曲家、G・マーラーの交響曲第4番の第4楽章Das himmelische Leben(天上の生活)の中に出てくるのです。テキストは、ドイツの古謡曲集『子供の不思議な角笛』から取られているのですが、あらゆるご馳走や美酒を堪能できる、楽園の生活の楽しさが、ソプラノによって歌われます。下に、Fisolenが出てくる、第3パラグラフを一部引用しましょう。(私のつたない対訳をおつけしますが、ご容赦を)

Gut' Kraeuter von allerhand Arten   あらゆる種類の上等な野菜が
Die wachsen im himmlischen Garten!   天上の菜園で育っている!
Gut' Spargel Fisolen   よく育ったアスパラガスに、インゲン
Und was wir nur wollen  そのほかみんな私たちの望みのままに
Ganze Schuesseln voll sind uns bereit!  すべてのボウルいっぱいに用意されているのです!
Gut' Apfel' gut' Birn' und gut' Trauben! よく育ったリンゴに、ナシ、そしてブドウが!
Die Gaertner die Alles erlauben!   庭師たちは私たちに、あらゆることを許してくれるのです!
Willst Rehbock willst Hasen   ノロジカはどうだい。野ウサギは。
Auf offener Strassen   そいつらは、遮るもののない道の上を
Sie laufen herbei!   こちらに向かって走ってくるのだよ!
・・・

この次、この曲を聴くときには、歌詞を眺めてから聴いてみるのもよいかもしれません。

ユニークな表現 -- weggehen wie warme Semmeln

ユニークな表現 -- weggehen wie warme Semmeln

★ weggehen wie warme Semmeln(ヴェックゲーエン ヴィー ヴァルメ センメルン)
「温かい(焼き立ての)センメルのように売れる」=「飛ぶように売れる」Semmel(センメル)とは何だかご存知ですか?オーストリアや南ドイツなどを旅行すると、必ず朝食の食卓に並んでいる、コロンとした白パンのことです。(色々種類があって、よく見かけるてっぺんに放射状の筋が入ったものは、Kaisersemmel(カイザーセンメル)といい、頭の筋は王冠を模したものだとか…)ちなみに、Semmelというのもオーストリアや南ドイツで主に使われている言葉で、標準ドイツ語ではBroetchen(ブレートヒェン)といいます。
「焼き立てのセンメルのように売れる」というこの表現、実際は「飛ぶように売れる」という意味なのです。何となく、想像がつきますよね。例えば、このように使います。
Die Kleidung im Sonderangebot gingen weg wie warme Semmeln.--セール品の洋服は飛ぶように売れた。
ちなみに、英語でも「sell(go) like hotcakes」で同じ意味になります。ドイツ語圏で飛ぶように売れるのを表現するのは焼き立ての白パンで、英語圏ではホットケーキなんですね。日本で飛ぶように売れると表現されるとしたら…何でしょう??言葉って、本当に興味深いですね。
今後も「ユニークな表現・役に立つ表現」など、織り交ぜてご紹介していきたいと思います。どうぞご期待下さい。

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